2010年04月19日

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ストラテジーブレティン 第11号

Sweet spot の米国経済、押し目買いチャンス

懐疑の中の調整、絶好の押し目チャンス

先週末、ゴールドマン・サックスに対する訴追をきっかけに米国株式はスピード調整した。2月9日以降の約2カ月間で15%もの急騰を遂げ、過熱感が強まる日経平均は過去2週間で3%下落となった。だが失望するには及ばない、絶好の押し目買いのチャンスととらえるべきだ。調整の幅も期間も、短期小幅にとどまる可能性が濃厚である。鍵となる米国市場において鬼と金棒が揃っている、からである。株価はひとえに、業績(実体経済)と流動性(金融政策)に依存するが、その双方において、今の米国は完璧と言って良い状態にある。以下に示すJPモルガン・チェースやインテルの業績コメントに見られるように、企業業績は著しく改善しているが、それもまだ端緒である可能性が濃厚である。これまでの業績改善は主としてリストラや問題資産の値上がりなどによるものであったが、本筋の力強い需要増加(=売上増)に基づく増益はむしろこれからが本番である。

驚くほどアップビートの企業決算

「JPモルガン・チェースのディモンCEOはトレードマークであった悲観トーンを捨て、長く病んでいた米国消費の顕著な健康回復が、米国経済の力強い回復の先駆けになるとの見方を示した。・・・明確かつ広範な改善が進行し、回復はより力を増していこう。ローンロス(クレジットカードやホームエクイティーローンなど)は過去2年間で初めて減少し、二番底懸念は急速に消え去った、と述べた。・・・その見方は今後発表される他の金融機関によっても確認されるだろう。彼が新たに主張し始めた楽観論は米国大企業は雇用再開、投資再開の準備万端であり、資金需要や金融サービス需要も復活するということ、を確信したからに他ならない。」(ファイナンシャル・タイムズ4.15.2010) 「インテルの第一四半期決算は第一四半期としては会社設立以来最高となり、44%増収、利益4倍増、粗利益率63%はアナリスト予想を大幅に上回った。新型MPUに対する需要はincredibleとポール・オテリーニCEOは述べた。 通常、不需要期となる第二四半期も明るい見通しを示し、通期の利益率はさらに改善するとした。・・・これは今後発表されるテクノロジー企業の好調さを示唆するものとなろう」(ウォールストリート・ジャーナル4.15.2010) 米国企業業績の驚くほどの強さは、図表1の米国企業の労働分配率の劇的低下、図表2の米国企業の空前の資金余剰によって担保されており、収益の堅固さは相当のものと考えるべきである。

バーナンキプット

実体経済以上に株価を支えているのが、FRBの慎重かつ株価に優しい金融政策である。本格景気回復を確かなものとするためには、株価、住宅などの資産価格が上昇し続けることが必須である。消費者心理の悲観度の逆関数である家計貯蓄率が008年1Qの1.2%から2009年5月に6.4%と上昇した後、2010年1月3.3%、2月3.1%と顕著に低下し、消費を上向かせてきたが、それも資産価格の顕著な回復あってのことである。米国家計の純財産額は2007年2Qの66兆ドルをピークに2009年1Q48.5兆ドルまで減少したが、4Qは54.2兆ドルと9カ月で6兆ドルの増加となった。それは対GDP比40%ほどの増加であり、家計の消費センチメントを大きく改善させた。

資産市場を味方にする見解(グリーンスパン・バーナンキ『学派』)

バーナンキ議長は景気に対しては楽観論を維持しつつも、市場が過度に楽観的になり長期金利が急騰する場面では、警戒心を喚起し市場をファインチューニングしている。バーナンキ議長はまた、グリーンスパン前議長と同様、「過度のFRBによる金融緩和が住宅バブルを引き起こした、FRBは資産バブルに警戒するべきだ」との見解を明確に否定している。その見方が正当であるかどうかはさておき(私は正当と考えるが)、現在の局面において資産価格を敵視しない(どころか味方につける)議長のスタンスは、資産市場に大きな安心感を与え、リスクテイクを鼓舞し、市場の流動性を厚くすると言える。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

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