2026年01月13日

PDFダウンロード

ストラテジーブレティン 第395号

解散総選挙・挙国一致的内閣成立で日経7万円視野に


解散総選挙で高市自民党と保守系野党が大勝する
先週週末(1月10日未明)高市早苗首相が衆院解散の検討に入ったと伝わり、夜間の日経平均先物が急騰しドル/円も上昇した。高市氏からは全く意向が漏れないが、総務省内で選挙態勢準備の指示が出されており、1月23日の通常国会開催冒頭での解散・総選挙は確定的とみられている。それは壮大な上昇相場にエネルギーを注ぐものになると考えられる。

第二次安倍政権成立後の株価急騰の再現が想定される。2012年11月14日の国会の党首討論で当時の野田首相が解散総選挙を表明してから、2012年12月26日の第二次安倍政権成立を経て2013年5月22日のバーナンキショックでピークを付けるまでの日経平均は7ヶ月で80%の急騰を演じた。今回は既に昨年10月から高市政権発足期待で株価上昇が始まっているので、そこまでの急騰は考えにくいが、最大では日経平均がフェアバリューと見られる7~8万円への上昇がスタートすると考えられる。

 

図表1に見るように、日本の株式市場の転換とトレンドは全て地政学的枠組みと政策選択に支配されてきた。戦後の画期は、1)1950年6月の朝鮮戦争の没発(日経平均90円から)、2)1989年12月末のピークアウトは米国の日本たたきとバブルつぶしの金融引き締め(日経平均18916円から)、3)2003年5月の大底はりそな銀行部分国有化・金融不良債権処理完了(日経平均8117円から)、4)2012年11月14日の大底は解散総選挙から始まるアベノミクス変革の開始(日経平均8664円から)、の4回あったが、今回の高市政権の成立は、戦後5番目の大変革を画する長期トレンド形成になると考えられる。起点は2025年10月4日の高市氏自民党総裁就任である。

高市政権が始める日本の保守・ナショナリズム革命
何故今回の解散総選挙と高市政権の基盤の確立が戦後5回目の画期になるのか。それは高市政権が、保守・ナショナリズム革命を成し遂げ、地政学と経済の枠組みを大転換させるものになるからである。現在の日本は国家存立に関わる危機に直面している。そしてその危機認識を国民が共有しているのに、これまでの政策は国民の期待に全く応えられてこなかった。第一は国家安全保障上の危機である。核保有の軍事専制国家3か国、中国・ロシア・北朝鮮(悪の枢軸と言ってもよい)と国境を接している世界唯一の危険な国日本が、戦力放棄を唱える絶対平和主義の憲法を順守し、丸腰であることの危険性は明白である。中国の対日恫喝はその証であり、ウクライナ情勢は明日のわが身、と言う可能性を誰も否定できない。

 

第二に財政健全化のお題目の下で、国民生活が著しく犠牲にされてきた現実がある。1990年にバブルが崩壊してもなお増加し続けてきた実質家計消費は、2014年1Qをピークに下降に転じた。2012年度末302兆円、2013年度末311兆円に対して2025年3Q298兆円(2020年基準)と、低迷から脱しておらず、現役世代の怒りが高まっている。経済成長率もG7の中でも最低水準が続いている。デフレ経済下で強行された「社会保障と税の一体改革」により国民負担率が、2011年度の38.8%が2022年度48.4%、2024年度(推)46.2%と急上昇したためである。(図表2)

 

日本不振の真因・・・大義の喪失(他力本願の日本国家像80年)終焉へ
それにしてもなぜ日本はかくも長き不振に陥ってしまったのだろうか。日本は明治維新以降の改革により植民地化を逃れられたばかりか、非西欧にあって唯一民主主義を受容し工業化を成し遂げた国、という自負があった。敗戦後の奇跡のような復興を遂げたことも、日本の固有の長所が成せるものど意識された。Japan as number oneを支えた誠実、勤勉、公正、協調的な国民性は日本の長所としてたたえられた。その国民的長所が短期間に変わるはずがないのに、全く見えなくなってしまったのである。

様々な分析がなされているが、最も本質的な原因は大義、つまり国の羅針盤の喪失であろう。明治の日本には、先進国に追いつき、民主主義を受容し、富国強兵を成し遂げるという強烈なナショナリズムが大義であった。  


戦後の昭和の羅針盤は平和主義と経済主義に変わった。戦争の反省と米国軍事従属の大枠の中で、ナショナリズムを棚上げし、与えられた運命の中で賢くふるまう「町人国家論」(天谷直弘氏)が広く受け入れられた。このナショナリズム棚上げの状態は、米国の日本たたきにより破綻し、大義を持たない日本は茫然自失に陥った。失われた30年はまさに大義喪失の時代であった。企業は脱日本・グローバル化で生き残りを図り、個人は海外との接触を減らし内向きになる「引きこもり」で精神的安寧を求めた。この分断状態の中で、政治家と官僚は自立心を失っていた。最大の政策目標が財政赤字削減、老後不安を担保する社会サービスの充実などと言う矮小性であった。

 

高市氏中心に挙国一致的政権樹立へ
中国の強大化とトランプ政権の安全保障戦略の大転換は、日本に再び大義に基づく国家経営を迫っている。トランプ政権は新たに発表した2025NSS(国家安全保障戦略)において、1)ナショナリズム(=国家安全保障最優先)、2)力への信仰、3)現実主義へのシフトを宣言したが、日本こそこの原則が必要であることは自明である。政治家や言論エリートより早く、国民・有権者がこのことを気づき始めている。2025年7月参院選挙での改革派保守野党の大勝、自民党内で少数派であった高市氏の総理総裁選出、自公連立から自民維新への連立の組み換えと改革派保守野党の政権協力等は、有識者やオールドメディアを置いてきぼりにする形で、民意が推し進めた変化である。少数与党化した自民党に保守系野党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党が協力する形で、保守・ナショナリズム革命が遂行されていくだろう。

 

高市氏がどのような形で連立政権の枠組みを構築するか、など細事は不明だが、解散総選挙から挙国一致的政権樹立への流れはほぼ固まったのではないか。富国強兵、財政再建の犠牲にされてきた国民生活の向上()、米国に仕組まれてきた国際分業の有利化(例えば一度は日本から追い出された製造業の日本回帰、台湾から日本へ半導体等の生産移転)は必須である。円安は日本への生産移転を促進するだろう。

 

日本には保守・ナショナリズム革命を成功に導く二つの力がある
日本には保守・ナショナリズム革命を成功に導く、米・欧・中にはない2つの要素がある。その第一は経済資源と投資力である。高い企業収益力、潤沢な貯蓄・資本力、実は豊かな財政出動余力である(図表3、4参照)。また世界で最も相互信頼が高い国=トラストの国=最低のリスクプレミアムの国である。

第二は国民的結束力である。大義に結集する条件を、今の日本は備えている。同質的国民性、熾烈な日本の国際環境(危険な隣国中国・ロシア・北朝鮮、頼れない覇権国米国)、禁じられていたナショナリズムの復権(愛国心、国家主義の名誉回復)などである。このようにして日本に大義が戻れば、政策や企業行動のベクトルが揃い、決断の時間を早め、変化を促進する。意見が対立する財政論議にも直ちに解が下されよう(図表5)。

会員登録はこちら

武者サロンでは会員向けに情報の配信・交流、勉強会等、別途サービスを展開します。会員登録は無料です。

スマートフォンサイト